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最高裁判所第三小法廷 平成4年(行ツ)109号 判決

上告人

司城重義

右訴訟代理人弁護士

河野敬

被上告人

神奈川県公安委員会

右代表者委員長

金子家啓

主文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人の負担とする。

理由

上告代理人河野敬の上告理由第一点について

元町セブンは司城医院の敷地の周囲三〇メートル以内には所在していないので本件営業許可処分に違法はないとした原審の認定判断は、原判決挙示の証拠関係に照らし、正当として是認することができ、原判決に所論の違法はない。論旨は採用することができない。

同第二点について

風俗営業等の規制及び業務の適正化に関する法律四条二項二号、風俗営業等の規制及び業務の適正化に関する法律施行令六条二号及びこれらを受けて制定された風俗営業等の規制及び業務の適正化に関する法律施行条例(昭和五九年神奈川県条例第四四号)三条一項三号は、同号所定の診療所等の施設につき善良で静穏な環境の下で円滑に業務を運営するという利益をも保護していると解すべきである。したがって、一般に、当該施設の設置者は、同号所定の風俗営業制限地域内に風俗営業が許可された場合には、右の利益を害されたことを理由として右許可処分の取消しを求める訴えを提起するにつき原告適格を有するというべきである。

ところで、原審の認定したところによれば、本件においては、元町セブンは司城医院の敷地からは30.39ないし32.20メートルの距離にあり、その周囲三〇メートル以内には所在せず、右風俗営業制限地域内において風俗営業が許可された場合には該当しないというのであるから、結果としては、上告人は本訴につき原告適格を有しないかにみえる。しかしながら、右事実関係からすれば、元町セブンは、それが制限地域内に所在しているか否かは実体審理をしなければ判明しない程度の至近距離内にあるのであるから、原審としては、上告人の原告適格を審査するに当たっては、処分の適否という本案についてと同一の審理をせざるを得ず、それなくして直ちに原告適格の有無を判断することはできない関係にある。したがって、そのような場合には、たとい審理の結果当該施設が制限区域内に所在していないことが明らかになったとしても、審理は既に本案の判断をするに熟しているのであるから、単に右訴訟における原告適格を否定して訴え却下の訴訟判決をするのではなく、本案につき請求棄却の判決をするのが、訴訟の実際にかなうゆえんである。原審は、上告人の原告適格を認めた上で、許可に係る風俗営業が制限区域内にはない旨を認定し、本訴請求は棄却すべきであるとした上、不利益変更禁止の原則により、本件訴えを却下した一審判決を維持すべきものとして控訴を棄却したのであるから、この措置は正当として是認することができ、原判決に所論の違法はない。論旨は採用することができない。

よって、行政事件訴訟法七条、民訴法四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官園部逸夫、同可部恒雄の補足意見があるほか、裁判官全員一致の意見で、主文のとおり判決する。

上告理由第二点についての裁判官園部逸夫の補足意見は、次のとおりである。

私は、本件の上告理由第二点に関して法廷意見に賛成するものであるが、本件が法廷意見の説示するような事案であるとしても、結局において、本件許可処分の相手方でない第三者である上告人の原告適格を肯定していることに注目し、この機会に、抗告訴訟における第三者の原告適格と本件との関係について、私の立場からの見解を明らかにして置きたい。

行政事件訴訟法九条の定める「法律上の利益」の有無の判断については、最高裁昭和三三年(オ)第七一〇号同三七年一月一九日第二小法廷判決・民集一六巻一号五七頁(公衆浴場事件)を経て、最高裁昭和五七年(行ツ)第四六号平成元年二月一七日第二小法廷判決・民集四三巻二号五六頁(新潟空港事件)及び最高裁平成元年(行ツ)第一三〇号同四年九月二二日第三小法廷判決・民集四六巻六号五七一頁(もんじゅ原子炉事件)等累次の判例により、解釈上の基準が緩和され、行政庁の処分の相手方以外の第三者についても、一定の限界を付した上で、原告適格を認めるに至っている。第三者の利益は反射的利益に過ぎないとする原理論から見れば、抗告訴訟における原告適格の法理は、単なるヴァリエーションの域を脱してむしろ実質上変更されているといっても過言ではないであろう。

これらの判例の事案は、いずれも、訴訟実務上、法律上保護された利益とそれ以外の一般的利益、反射的利益とを明確に識別することのできる基準を設定することが困難であることを示している。今日、規制行政(下命・禁止の処分、授益処分を取り消す処分)の相手方による争訟と並んで、授益行政(許可等相手方に利益を付与する授益処分)における第三者による争訟がかなりの数に上っている。このような状況の下で、訴訟法上の規制に合理的解釈を施して社会の実情に対応した処理をすることは、国民の裁判を受ける権利の保障という観点からも必要なことではないかと考える。

本件において、被上告人が有限会社平成企画に対してした風俗営業許可処分に対し、第三者の地位にある上告人が右許可処分の取消しを求めたところ、原審は、制限地域内に診療所を設置している者であるか否かは本案の問題であるから、上告人は、診療所を開業する医師として、本件営業許可処分が、制限地域内の営業所に対してされた違法のものであることを理由として、右許可処分の取消しを求める原告適格を有するとしたのである。原審の判断は、本件処分の相手方でない第三者であっても、法の定める制限地域内にある場合には、一般的公益の中に吸収解消されない個々人の個別的利益を判断し、これを法律上保護された利益として、右利益を「必然的に侵害されるおそれのある者」については、原告適格を認めることができるという見解に立っているものと解することができる。

問題は、右の「必然的に侵害されるおそれのある者」という判断を訴訟上どのように審理判断すべきであるかということである。私は、「診療所等の経営者で、所定の距離制限の要件を充たしていないとして営業許可処分の違法を主張する者は、その取消しを求める原告適格を有する」とした原審の解釈を妥当とするものであるが、右解釈が、右診療所等が所定の距離をはるかに超えた遠方に位置する場合をも含むものでないことは、法の常識に照らし明らかである。このことを前提とした上で、右診療所等と許可処分の対象となっている風俗営業所との距離が制限距離以内である場合はもちろん、制限距離以内にあることが訴え提起時に明確でない場合でも、制限距離内であると主張できる程度の範囲内にあることが認められる場合には、原告適格を有すると解するのが妥当であり、本件は、後者の場合に当たるのである。

私は、この問題については、実務と理論との架橋によって、事案の状況に応じた対応が必要ではないかと考え、行政事件訴訟法九条の定める「法律上の利益」には、法律上保護された実体上の利益の有無について実体審理に基づく本案の判断を求める手続上の利益を含めることができると解釈する。したがって、本件において、原審が、上告人に原告適格を認めるに当たって、実体要件でありかつ手続要件でもある距離制限の要件について、その審理判断をいずれも本案の問題であると解したことは、右に述べた意味において、上告人に「法律上の利益」を認めた正当な解釈として、これを是認するものである。

裁判官可部恒雄は、裁判官園部逸夫の補足意見に同調する。

(裁判長裁判官大野正男 裁判官園部逸夫 裁判官可部恒雄 裁判官千種秀夫 裁判官尾崎行信)

上告代理人河野敬の上告理由

第一点 原判決は、風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律(以下「風営法」という)四条二項二号に定める「風俗営業の制限地域」の解釈を誤った結果、本件営業所が「風俗営業の制限地域」内に所在しており営業許可をしてはならない場合であるにもかかわらず、「風俗営業の制限地域」外に所在しているから適法であると誤って判示したものであり、原判決には、判決に影響を及ぼすこと明らかな法令の違背がある。

一 風営法三条一項は、「風俗営業を営もうとするものは、風俗営業の種別に応じて、営業所ごとに、当該営業所の所在地を管轄する都道府県公安委員会の許可を受けなければならない。」と規定しており、同法四条二項二号は、公安委員会が右営業許可にあたって、当該営業所について「営業所が、良好な風俗環境を保全するため特にその設置を制限する必要があるものとして政令で定める基準に従い都道府県の条例で定める地域内にあるとき」は、許可をしてはならないと定めている。

神奈川県は、風営法四条二項二号の規定をうけて、「良好な風俗環境を保全するため特にその設置を制限する必要があるものとして政令で定める基準」(風営法施行令六条)にしたがって、「風俗営業等に関する法律施行条例」を制定し、営業所の設置を制限する地域として「図書館、児童福祉施設、病院(医療法(昭和二三年法律第二〇五号)第一条の二第一項に規定するものをいう。以下同じ。)及び診療所(同条第二項に規定するもの(患者の収容施設を有するものに限る。)をいう。以下同じ)の敷地の周囲七〇メートル以内の地域(当該地域が商業地域に所在することとなる場合にあっては、当該施設の敷地の周囲三〇メートル以内の地域)」を定めている(同条例三条一項三号)。

二 上告人は、医師(医学博士)であり、一九五四(昭和二九)年から横浜市中区石川町一丁目四番地において司城耳鼻咽喉科医院(一九八五(昭和六〇)年三月一二日以降「患者の収容施設を有する」診療所)を開設し、現在に至るまで同所において診療にあたっている者であるが、原判決は、「風俗営業の制限地域」の距離の測定にあたっては、「診療所の敷地の周囲三〇メートル」とは「診療所の施設の専用部分の敷地」の外周を基点とすべきであるとこれを専用部分に限定し、他方、規制される「風営法の営業所」とは、「社会通念上一つの営業の単位といいうる程度に他の部分から外形的に独立した施設」のみに限られるとして、現実に風俗営業の利用客が不可欠に通行する建物の出入口が「三〇メートル」以内に存在していても、それは「風俗営業の制限地域」とは無関係であると判示したうえで、本件パチスロ営業の施設として間仕切りによって区画されている部分が上告人の診療所の専用部分の敷地の外周から三〇メートルを超えていると認定して、「営業所」が「風俗営業の制限地域」内には所在していないと判示した。

しかしながら原判決の右判示は、風営法が風俗営業を制限すべき地域を設定し、当該地域においては営業の自由を制約してまでも風俗営業を許可しないこととした右規定の立法目的を正解せず同法の解釈を誤った違法なものであるといわざるをえない。

三 風営法は、「善良の風俗と清浄な風俗環境を保持し、及び少年の健全な育成に障害を及ぼす行為を防止するため、風俗営業及び風俗関連営業等について、営業時間、営業区域等を制限し、及び年少者をこれらの営業所に立ち入らせること等を規制する」こと、「風俗営業の健全化に資するため、その業務の適正化を促進する等の措置を講ずる」ことを目的としており(第一条)、同法四条二項二号は、これを受けて風俗営業の設置場所について、「良好な風俗環境を保全するため特にその設置を制限する必要があるものとして政令で定める基準に従い都道府県の条例で定める地域内にあるとき」は許可をしてはならないと定めている。

同法施行令六条一号ロは、制限地域として、「学校その他の施設で特にその周辺における良好な風俗環境を保全する必要がある施設として都道府県の条例で定めるものの周辺の地域」を挙げており、右の場合には、「当該施設の敷地(これらの用に供するものと決定した土地を含む。)の周囲おおむね百メートルの区域を限度とし、その区域内の地域につき指定を行うこと」(同条二号)と規定している。

本件神奈川県条例三条一項三号は、風営法四条二項二号及び同法施行令六条に従って制定されたものであり、同条例が、「風俗営業の場所と病院等の施設との距離制限を設けている趣旨は、これらの施設がその設置目的を十分達成できるようにするため、その施設の周辺の静穏や清浄な環境を保持することにあり、それは単に営業所自体から発せられる騒音や享楽的な雰囲気等のみならず、その営業所に出入りする客によって生ずる雑踏やけん騒あるいは享楽的な雰囲気等からも、これらの施設を保護することにあると解される」(飛田清弘・柏原伸行共著「条解風営法」一七九頁)とされているとおり、あくまでも診療所等が「その設置目的を十分達成できるようにする」ことが制限地域設定の立法目的である。

すなわち、制限地域の距離の測定にあたっては、このような「風俗営業の制限地域」設定の目的に従って「診療所の敷地」の外周が判断されなければならないし、また、営業所の範囲が解釈されなければならない。

四 ところが原判決は、「診療所の敷地」の外周とは、「当該診療所等の施設の専用部分の敷地」の外周であると断定し、「診療所の敷地」の範囲を極小に限定した。原判決は、その理由として、①条例は、「診療所等の施設の敷地」と規定していて「診療所等の所在する一棟の建物の敷地」と規定していないこと、②同規定は、「雑居ビルそのものの風俗環境を保持するためのものではない」こと、③風営法施行令六条三号は、「制限地域の指定は、良好な風俗環境を保全するため必要な最小限度のものであること」と規定されていること、を挙げている。

しかしながら、条例は、原判決が判示するように「当該診療所等の施設の専用部分の敷地」と規定しているのではなく、「診療所の敷地」あるいは「当該施設(診療所を意味している―上告人代理人注)の敷地」と規定しているのであって、「診療所の敷地」が「診療所の所在する一棟の建物の敷地」である場合があることは文理上も何ら異とするに足りない。もとより、制限地域は、雑居ビルそのものの風俗環境を保持するためのものではないことは明らかであり、診療所の設置目的を十分達成できるようにするためのものであるから、診療所の良好な風俗環境を保全するために「必要な」地域であることが不可欠である。すなわち、制限地域が実質的に診療所の良好な風俗環境を保全するために必要な地域となっていることが当然に要請されているというべきである。したがって、診療所そのものの静穏や清浄な風俗環境を保持するためには、診療所が所在する一棟の建物の良好な風俗環境を保全することが不可分かつ不可欠である場合には、「診療所の所在する一棟の建物の敷地」と解さなければならない。

原判決は、面積比や構造等の観点からみて、診療所が雑居ビルそのものと同視しうる場合及び診療所以外の部分を無視できるような特別な場合以外はビルの敷地の外周を基点とすべき合理性はないと判示しているが、問題は診療所の設置目的を十分達成させるための当該施設の周辺の静穏や清浄な環境を保持することであって、原判決挙示の場合以外であっても診療所の良好な風俗環境と一棟の建物の良好な風俗環境が密接不可分である場合には、一棟の建物の敷地を「診療所の敷地」とすべきことは当然の事理といわなければならない。

五 原判決は、「風俗営業の制限地域」の制約をうける「営業所」について、風営法の「営業所とは、社会通念上一つの営業の単位といいうる程度に他の部分から外形的に独立した施設をいい」、建物の構造上も利用上も独立性を有していることを要しないから、地下一階部分全体を営業所とみるべきではなく、間仕切りの区画が「営業所の範囲」であると判示している。

原判決の右判示は、風営法二条一項八号の風俗営業について、警察庁の「解釈基準」第二3が当該規定の「店舗」の意義を、「『店舗』とは、社会通念上一つの営業の単位と言い得る程度に外形的に独立した施設をいい」と説明している部分を「営業所」にそのまま流用したものと考えられるが、制限地域の制約をうける「営業所」は、八号風俗営業の「店舗」とは異なる概念であり、誤りである。制限地域の制約をうける「営業所」の範囲を、八号風俗営業の「店舗」と同意義に解しその範囲に限定する原判決の右判示は、一つのフロア等建物内部を間仕切り等によって外形的に区画することによって恣意的に「営業所」の範囲を限局し、制限地域の規制を免れることを可能とする解釈であり、不当である。

しかも原判決は、「営業所」が専用通路であるか共用通路であるかを問わず独自の外部への出入口を必要とせず、利用形態としては地下一階部分全体を一体として利用しているような場合であっても、間仕切りによって区画された内部のみが「営業所」であると判示している。

本件において、仮に被上告人が主張するように、上告人の診療所の「専用部分」の敷地の外周を基点として測定したとしても、明らかに三〇メートル以内に本件地下一階部分の利用者のみが使用する階段が位置しており、当該階段を、本件パチスロ営業利用客が現実に使用していたことが明らかであるが、そのような場合であっても地下一階部分の一部分を区画してあればこれを「外形的に独立した施設」であるとして制限地域の規制を当該部分のみに限局する解釈が、風営法が「風俗営業の制限地域」を設定した趣旨を没却するもので誤りであることは明らかであるといわなければならない。

六 原判決は、風営法が「風俗営業の制限地域」を設けている趣旨に反し、「診療所の敷地」及び「営業所」の解釈を誤ったために、本件営業許可の違法を看過したものである。

第二点 原判決は、民事訴訟法三八八条に違背しており、判決に影響を及ぼすことが明らかな法令違背がある。

一 原判決は、上告人の原告適格を否定し訴えを却下した一審判決を不当であるとしながらもこれを取り消さずに控訴を棄却した。

民事訴訟法三八八条は、「訴ヲ不適法トシテ却下シタル第一審判決ヲ取消ス場合ニオイテハ控訴裁判所ハ事件ヲ第一審裁判所ニ差戻スコトヲ要ス」と定めているところであるが、原判決は、「控訴人の原告適格については被控訴人は特に争わないのみならず、原審は実質上本案について審理し判断しており、かつ、本件請求は、証拠調べの結果により理由がないことが明白である」ことを理由として、一審判決を差し戻さずに民訴法三八八条に反する取扱いを行った。

仮に、十分に実体審理が尽くされており、本案について請求の理由がないことが明らかであるならば、あえて審級の利益を形式的に保護する必要のない場合があることを認める余地があるとしても、本件はそのような場合には該当せず、原判決の「控訴棄却」判決は違法である。

二 一審判決は、「本件処分により許可された営業所である元町セブンから条例三条一項三号所定の範囲内に診療所を設置する者」が本件における原告適格を有すると判示し、本案における違法と原告適格の範囲を全く同一のものと捉えたうえで本件訴えを却下したが、原判決は、「所定の距離制限の要件を充たしているか否かは本案の問題」であるとして、これを原告適格の問題と区別している。

第一審判決が原告適格の問題についてのみ判断していることはいうまでもないが、本案の問題として、制限地域が実質的に診療所の良好な風俗環境を保全するために必要な地域となっているか否かについて審理及び判断をしていないことも明らかである。

しかも、原審の審理においては、診療所が存在する建物の良好な風俗環境が診療所の良好な風俗環境と密接不可分であるか否か、本件パチスロ営業部分と当該部分を含む地下一階部分全体の利用状況が風営法の制限地域の規制の観点からみて許されない形態のものであるか否か等の上告人が主張した本案の問題に関する争点について、一切の証拠調を行うことがなかったことは本件記録上も明らかである。

原判決及び第一審判決は、距離測定の基点を独自の解釈にもとづいて予め設定し、その間の距離の測定方法を証拠調したのみであり、制限地域の規制の実態をあえて審理しようとはしなかったものであって、本件が十分に実体審理が尽されている場合で、かつ、請求について理由がない場合であるということができないことは明らかである。

したがって、本件において、上告人の審級の利益を無視し、本案判決をすることは許されない。

原判決は、民訴法三八八条に違背しており、これは判決に影響を及ぼすことが明らかである。

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